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レポート
山田周生×長谷川治『地球を一周して世界の未来を考える』

■地球を一周して世界の未来を考える

対談:山田周生×長谷川治

世界各地で調達した廃食油をバイオディーゼル燃料「BDF」に精製して車を走らせ、2007年から2008年にかけて世界一周を果たしたフォトジャーナリストの山田周生さんと太陽油脂の長谷川治が対談しました。

バイオディーゼル燃料「BDF」とは、家庭や飲食店から出る使用済みの天ぷら油を、化学反応によって軽油程度の引火点に近づけ、ディーゼルエンジンに使用できるようにしたものです。BDFも燃やせばCO2が発生しますが、食用油の原料である菜種や大豆などの植物が、成長するときに大気中の二酸化炭素を吸収していることから、環境にやさしいエネルギーと言われています。

今回は、その対談の様子をご紹介します。

●BDFで世界一周をしてみようと思ったきっかけ

山田周生さん(以下敬称略):たまたまBDFを使う機会があって、車に入れて実際に日本で走ったんですね。そうしたら高速道路でもどこでも普通の車と同じように走れて、黒煙が出ないんです。匂いが少し天ぷら油っぽいだけで、硫黄酸化物などの毒性を出さないし二酸化炭素も増やさない。でも本当にそれが良いこと尽くめなのかどうかというと、半信半疑で・・・。BDFを使って車が止まってしまったという情報もあったので、果たして本当にBDFが良いものなのかどうか、自分で実験してみたくて始めたんです。そして日本を縦断するテストをしたり、ヨーロッパに車で行ってバイオディーゼル燃料を売ってるガソリンスタンドを探したり、バイオディーゼルを使って砂漠のラリーに出たり、ハードなテストや長距離のテストをして、不具合が起きないかどうかを2年間いろいろ試したんです。その結果、悪いことが一つも無く問題も起きなかったので、本格的にもっと距離を伸ばして、地球一周するほどの距離を一台の車で走ってみようと思いついたのです。BDFを売っているガソリンスタンドはどこにでもある訳では無いので、自分でその燃料を作る機械を車に乗せれば、走り続けられる。これはおもしろいと思って、「バイオディーゼルアドベンチャー」プロジェクトに取りかかりました。

●世界一周した車のしくみ
山田式バイオディーゼル精製機Bio-DF40を搭載した車

山田式バイオディーゼル精製機Bio-DF40を搭載した車

長谷川治:実際に車でずっと走るわけですけれど、キャンピングカーとは違って車の中で宿泊するわけではないのですよね?

山田:そうですね。車の中にBDF精製の超小型プラントを搭載しているので、スペースはほとんどありません。

長谷川:車の中で製造するということは、加熱したり、攪拌するのに電気を使うのですか?

山田:バイオディーゼル燃料で動く発電機を積んでいますし、走行中も車のバッテリーを使ってフィルター類を動かすことができます。その発電機を回します。バイオディーゼルで動くディーゼル発電機ということで、いいかなと思っています。

長谷川:屋根の上にも色々積んでいますね。

山田:四角いのは、ジェリ缶(車両用の燃料缶)です。レストランの厨房などで廃食油を頂くときにジェリ缶をもって行けば、その場で入れて頂けるので。それを車の屋根に乗せておいて、必要なときに下ろして燃料を作ります。この車に廃食油を満タンに積めば、約3000キロを無給油で走れます。そうするとサハラ砂漠も無給油で走れます。

長谷川:バイオディーゼルを作るのにどいのくらい攪拌するんですか?

山田:僕は1時間から1時間半、温度は60度近くで攪拌しています。なるべく完全反応に近く、不純物を残したくないですからね。でもやりすぎも良くないんです。

長谷川:その後、グリセリンを除いて水洗いもするんですか?

山田:水洗いはしません。グリセリンや水酸化カリウムをイオン交換樹脂を使って除去しているんです。

長谷川:作って使えるまでにどれくらいかかるんですか?

山田:早くて24時間かかります。本当は時間をかければかけるほど良いのですけれど、一番早くて24時間くらいですね。

長谷川:グリセリンはどうするんですか?

山田:僕の場合は、グリセリンを好んで食べるバクテリアを使って実験しています。それを車に乗せていまして、環境がよければ3日か4日くらいで1回分は彼らが食べてしまうんです。そればかりではないんですよ。例えば、山形のNPO「知音」さんは、堆肥に…。

長谷川:混ぜてましたね。僕も見に行ってきました。

山田:海外でも堆肥に混ぜているところがあったり、化粧品会社が純粋なグリセリンを抽出して、利用しているということも聞いています。凍結防止剤に使っているところもありますし、結構いろいろな利用の仕方があるようです。

長谷川:当社のマルセイユ石けんなどはグリセリンが出ないように、そのままゆっくりと、それも分散した状態で固めています。

山田:石けんにグリセリンも入っているのですか?

長谷川:洗浄力としては少し弱くなりますけれど、身体を洗うにはむしろグリセリンには保湿効果があるということで、12パーセントくらい入っています。石けんシャンプーもそのままグリセリンを残しています。洗濯用には、塩析という方法でグリセリンを取り除き、純石けんだけを取り出しています。

【車に乗せているBDF精製機について】
BDF精製機は、化学の専門家やフィルター会社、中小企業の工場などの協力を頂いて、10ヶ月かけて作りました。完成までに一番手間取ったのはイオン交換樹脂です。イオン交換樹脂は洗浄すれば何度でも使えますし、他のフィルターも何度も洗浄できる半永久的な素材を使って、特注で作って頂きました。水で洗えばすぐに回復するようなものなので、徹底的に省エネでリサイクルできる仕組みにしてあります。精製機を小さくコンパクトにすることは難しいので、世界中で注目をあびました。(山田さん談)
●石けんとバイオディーゼルのコラボ?

長谷川:山田さんも小学校でバイオディーゼルのお話をされているそうですが、太陽油脂でも毎年、地元の子安小学校で固形石けんの手づくり方法の出張授業をしています。水酸化ナトリウム(カセイソーダ)水溶液と油をペットボトルに入れて5分くらい振り、型に流し込んで石けんを作ります。短時間で作れて、自分の振ったエネルギーが石けんになったと実感できる方法です。

山田:熱はもたないんですか?

長谷川:ほんのり温かいだけです。バーッと反応して熱くなるということはないですから。ちょうどお風呂に入る程度の温度です。

山田:安全ですね。

長谷川:バイオディーゼルもペットボトルで作れますね。20分くらい振ってしばらくすると、グリセリンが下に沈んで来ます。

山田:以前、滋賀県の「あいとうエコプラザ・菜の花館」で、小学生とバイオディーゼルの実験をしたんです。そのとき使ったフラスコは口が開いていたので、みんなに保護用メガネをつけてもらいました。けれど、ペットボトルだったらいらないですね。

長谷川:必要ないですね。完全に密封で作れますから。石けんも廃油から作るいろいろな方法がありますが、火にかけたり、かなり危ない場合もあります。しかし、この方法で今まで何十回とやっていますが、こぼれたり危険だったことは無いです。ただし、水酸化ナトリウムは事前に別に溶かして用意しておきます。

山田:なるほど。

長谷川:バイオディーゼルも20?30分振れば出来ますので、石けんは固まりますがバイオディーゼルは固まらずに液体のままだという違いが分かりますね。

山田:地元の方から廃食油を分けていただくことは、その方々とコミュニケーションできる一つのツールだと思っています。廃食油を集めるにあたって、いろいろなアプローチの仕方があると思います。例えば車を展示するだけではなく、有機農作物のマーケットとコラボしたり、天ぷらパーティをしながら世界一周した際のスライドフォトを見ていただいたり、学校でお話したり。そうやって一歩踏み込んで、体験していただくようなことができたらと思っています。

長谷川:私どもの製造工程で、例えば重量が不足のため、商品にならないものができることもあるので、それを、実は同じ油で石けんも出来るのだという話をして講習会等のときに配ってもらうとか、バイオディーゼルの話とうまくコラボレーションできればいいですね。

山田:学校などで講演をするときは、事前に話をして、天ぷら油をペットボトルに入れて家から持ってきてもらうこともあります。そして子ども達に直接、BDF精製機の中に油を注いでもらう。そのときに石けんを持って家に帰れば「油を出したら石けんになって返ってきた!」とお母さんも興味をもってくれるかもしれませんね。そんな話をしながら親子のコミュニケーションも生まれるのも、面白いですね。

【廃食油の出し方】
「バイオディーゼルアドベンチャー」で精製しているバイオディーゼル燃料は、レストランや家庭から出た使用済み天ぷら油(廃食油)からできています。集めている油は、植物性油(例えば、サラダ油、菜種油、大豆油、ひまわり油など)などの廃食油に限ります。
※賞味期限が切れた植物性油も使えます。
※動物性油脂(ラード等)やエンジンオイルなどの油は使用できません。
<保存方法>
集めていただいた廃食油は、水分の残っていないペットボトルなどやサラダ油などの容器に入れていただくか、5、10、25、50リットルなどのポリタンクやジェリ缶などに溜めてください。保存した油の酸化を防ぐためにしっかり容器の蓋をしめるようにお願いします。
本プロジェクトにご協力いただける方はHPをご覧ください。
●太陽油脂の製品や取り組み

山田:太陽油脂さんは、いつから石けんを作られているのですか?

長谷川:1947年創立当時から業務用の食用油脂と、それを原料にした石けんを作っています。外食産業向けなどにも食用油脂を販売しています。そこでも廃油がたくさん出るのですが、液体ではなくて、少し固めの油なのです。

山田:その食用油脂にはパーム油が多く使われているのですか? 

長谷川:そうです。

山田:それだとあまりバイオディーゼル燃料には向かないですね。

長谷川:日本ではパームやヤシは、バイオディーゼルとして使いづらいですね。マレーシアなどは暖かいからそれでも平気で車が走ってしまいますが。

山田:世界中でこういうことをやっている方も、なかなかファーストフード店には足が向かないようです。

長谷川:家庭では、みなさん菜種・大豆・米・サラダ油などを使いますから、液体が多いですが、業務用は融点が高いものを使います。その方が、安定性が良くて熱をかけても酸化しにくいですから。

山田:そういうことだったのですね。パーム油は味を良くするからよく使うとは聞きました。どんな廃食油でもBDFは作れますが、中でも向いているのは、とんかつ屋さんや天ぷら屋さん関係ですね。学校給食もだいたい2回使うと捨ててしまうので、いい燃料になります。こちらでは、油を回収してリサイクルするというのは特にやってらっしゃらないのですか?

長谷川:以前、一時回収したことがありまして、それで石けんを作ったりもしたのですが、その中に機械油が混じっていたことがあり、続けられなくなりました。

山田:品質の問題ですか。

長谷川:回収した油の中身が分からないで作ってしまうと、問題が起きます。法律上、固形石けんも化粧品の範疇に入りますので、表示してある成分にないものが入っていたとなると、色々と問題が起きてしまうのです。

山田:太陽油脂さんの石けん製品はどんな特徴がありますか?

長谷川:シャンプーなどは普通、化学物質のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(ラウレス硫酸Na)などを使うのですが、このようなものは使わず石けんを使って製品を作っていて、合成の酸化防止剤や防腐剤は使っていません。

山田:Webサイトもあると思いますけれど、その他に何か情報を発信したりブログなどはやっていらっしゃいますか?

リサイクルデザイン5分でできる廃油石けん作り

長谷川:通販部門を担当している太陽サービスが「PAX NATURON」という冊子を作り、情報発信しています。PAX NATURON31号の中では、『リサイクルデザインフォーラム2009』で太陽油脂が行った「5分でできる廃油石けん作り」の様子を掲載しています。フォーラム会場は先着30名分の座席でしたが、あっという間に満席になってしまいました。この催しには横浜市長も参加して小学生の環境絵日記を表彰したり、様々な環境団体の取り組みが展示されました。

山田:この冊子はどのくらいのペースで出されているのですか?

長谷川:年3回、1月、5月、9月に発行しています。

●バイオディーゼルと世界の未来

長谷川:先日ネパールの方が来社されて、現地で採れる油を使ってくれないかという話がありました。良い油ですが、安定供給できるのかというとそれが難しいので、今後用途を一緒に考えていきましょうということになりました。

山田:お互いに得意な分野を補って、それぞれ生きていく方法というのは絶対あると思います。多く量産しても売れなければ意味がないだろうし、これからは量より質の時代だと思うのです。ただ安くて量があればいいというよりも、使っていて気持ちいいのか、健康に良いのかということが大切なのではないでしょうか。本当に自分が使っても良いと思うものが売れていくのではないかと思います。

長谷川:日本では洗剤や化粧品の販売量はコマーシャルの量(広告宣伝費)に比例するというのが今まででしたが、最近では私どもが作っているような、ナチュラルで健康と環境に良いものが注目されるようになってきています。

山田:例えばスウェーデンでは、ソーラー、風力、原子力などさまざまな種類の電力会社があり、何からできた電力なのかで自分で電力会社を選ぶことができます。食品や石けんなどについても、そういうふうに社会のシステムと消費者の知識がだんだん上がってくれば、世界は変わってきますよね。

長谷川:都会の場合は下水道が発達してしまったから、多少悪いものでも下水に流せば目に見えなくてよしとしてしまうんですね。地方へ行くと下水道が整備されておらず、直接川に汚水が流れて、そこで魚が死んでしまうと、これは自分が流したものが原因かもしれないという問題意識が生まれ、行動するようになってきていますね。

山田:僕も自分の出来ることしかできないのですが、まずそれが一歩かなという気がしています。バイオディーゼル燃料はすべての化石燃料の代わりにはなりません。では、この先のエネルギーはどうすればいいのか。例えば時代がもうちょっと進んで、バイオディーゼル燃料と、電気や燃料電池のハイブリッドカーができれば、面白いんじゃないかなと思います。ちょうど今の子供たちが、40?50歳になったときは、もう石油はないはずです。彼らが今のうちからこういうものを見ることで、将来とんでもない発想をして、すばらしいテクノロジーを生み出してくれるかもしれない。それも楽しみなんですよ。

長谷川:先日、バイオディーゼルを作る団体の総会と、廃油で石けんを作る団体の総会を一緒にやりました。両方作っているところもありますが、別々の団体です。バイオディーゼルは油脂とアルコールと水酸化ナトリウム(又は水酸化カリウム)を使い、石けんも油脂と水酸化ナトリウムとアルコールを使う。ただ比率が違うわけです。アルコール主体でバイオディーゼルになり、水酸化ナトリウムが主体だと石けんになります。つまり、バイオディーゼルは水酸化ナトリウムを入れることによって反応が早くなり、石けんはアルコールを入れることによって反応が早く進むという関係になっています。

山田:同じものだけれど割合が違うということが面白いですね。

長谷川:面白い関係だから、皆さんバラバラに活動しないで、一緒にやった方が良いのではないかという提案をしました。

山田:いいですね。活動の場を広げていくのは良いことだと思います。僕も今出来ることを全力でやっていきたいと思っています。バイオディーゼルで世界一周する旅も、どうやったら油を集められるかということを色々考えながら、毎日試行錯誤の連続でした。油を通じて、人の出会いがあり、絆が生まれる。この出会いもそうです。どこかでコラボができたらとてもうれしいですね。楽しみにしています。

●山田周生さんプロフィール

山田周生氏

25歳の時にバイクでサハラを単独縦断、そのまま約2年間、世界放浪の旅を続ける。これを皮切りに、現在まで地球50周ほどの距離を旅する。
'83年から、パリ・ダカールラリーをはじめクロスカントリーラリーやキャメル・トロフィー、アメリカンズカップ、アドベンチャーレース、犬ぞりレースを追跡取材。旅をしながら自然との共生を考え、アメリカンインディアンなどの先住民族のルポルタージュなども手がけている。4WDやバイク、カヤック、ロープクライミング、MTB等を駆使して未開の大自然に入り、できるだけ対象にせまる取材スタイルを信条とする。自らもパリ・ダカールラリーにバイクと4輪で出場して完走。ライフワークとしてもクルマやバイクによるサハラ縦断や南米縦断など世界中を巡っている。訪れた国は100か国以上、総走行距離は延べ200万km。(山田さんのHPより)

バイオディーゼルアドベンチャーの今後のルート
バイオディーゼルアドベンチャーのホームページがありますので、興味がある方はそちらをご覧下さい。http://biodieseladventure.com/

(おわり)

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