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レポート

■石けんのやさしい化学

長谷川 治(太陽油脂(株)取締役家庭品部長)

石けんと合成洗剤を比較されることがよくあります。その中で、「石けんもやはり化学変化させるのだから、化学物質じゃないか」という人がいます。この化学物質、化学変化というのはどういうものか考えてみたいと思います。(2005年4月1日におこなわれた学習会より)

●物理的変化と化学的変化

化学変化の話をする前に、まず、物理的変化というのがあります。たとえばここにオリーブ油、油がある。これは、液体になっています。温度を下げていくと固体、固形に変わっていく。ヤシの実は、実の中にジュースが入っていて、周りに果肉があります。その果肉を絞ると油が採れます。これは絞ったばかりの油です。回しますから、ちょっと匂いを嗅いでみてください。ヤシの実そのものの匂いがします。固まっているような状態になりますけれども、これを昨日、いったん溶かしまして、それで放置しておきました。そうしますと、固まっているところと液体のところと両方混じった状態になっております。同じようにパーム油という油があるのですが、これを一晩放置しておいたら、完全に固まった状態になっております。このように液体から固体になったり、あるいは気体になる。たとえば水が凍ったり水蒸気になる、これを物理的変化と言います。

搾ったばかりのヤシ油 固まった状態のヤシ油
搾ったばかりのヤシ油 固まった状態のヤシ油

これと比べて化学変化というのは、変化前と変化後の性質が、違うものに変わっていく。そういうものが化学変化というふうになります。たとえばカセイソーダと塩酸が合わさると、食塩(NaCl)という全く性質の違うものに変化します。石けんも、後ほど詳しく言いますが、ヤシ油とカセイソーダ(アルカリ)が混じると、石けんとグリセリンが出来るということで、油から石けんという別の物質に変わる。これは一種の化学変化になるわけです。そういう意味では石けんも化学物質と、こういうふうに言うことは間違いではないわけです。しかし今、環境問題になっている色々な化学物質は、高い温度と圧力をかけて作られるものです。ですから、広い意味の化学物質と、狭い意味の化学物質があることになります。

自然界のいろいろな変化があります。例えば、食べ物を置いておくと、だんだんと腐ってきます。腐るということは、ひとつの化学変化が起きている。これは微生物、バクテリアが繁殖して、たんぱく質を分解して別の物質にしてしまう。この腐敗と同じように、発酵というのがあります。納豆と言うのも大豆を発酵させて作るということになるわけですが、これも化学変化です。大豆が納豆というものに変わる化学変化です。では、納豆を化学物質と言うかといったら、だれもそんなことは言わない。つまり、こういう常温で起こる変化で出来る物質は、普通は化学物質とは言わない。

●石けんとは? 実験してみましょう

石けんはどういうものかといいますと、石けんの原料は油脂とアルカリ剤です。この油脂は、組成的に半分がグリセリン、もう半分が脂肪酸というもので、これが結合したものが油脂ということになります。この油脂を変化させると、石けんになっていくわけです。
 先に実験をします。時間が1時間半くらいかかるので、今から始めて、話を1時間半くらいするとちょうど実験が終わります。オリーブ油とパーム油とヤシ油、この3つをブレンドしたものが、このビーカーの中に入っていて、約50℃に加熱してあります。この油脂の混合物にアルカリを入れて混ぜますと、ちょうどこの学習会が終わるころに石けんに変化しているでしょう。

3種類の油脂にアルカリを加え、撹拌するまず、この50℃に温めたオリーブ、パーム、ヤシ3種混合物にカセイソーダ液を入れます。水と油ですから、なかなか混じりあいません。それでも攪拌すると、ある程度は混じるのですけれども、攪拌してもどうしても油が軽いから上にいき、水が重いから下にいくというふうになるので、これを均一に混ぜるために、石けん液を入れます。石けん液は台所用の石けんでも、固形石けんを溶かしたものでも何でもいいのですが、それを入れます。そうしますと、石けんが水と油を乳化させます。均一に混合された状態で、このまま攪拌して1時間半経つとドロドロになるので、時々この様子の変化を見てください。

3種類の油脂にアルカリを加え、撹拌する

●油脂とは

3種類の油脂にアルカリを加え、撹拌する脂肪はグリセリンと脂肪酸が3つ結合したものですが、脂肪酸は1.2.3で別々だったり、あるいは1.と3.が同じものだったり、色々な種類のものがあるわけです。ところがこの脂肪酸が3つそろっていないものも世の中には存在します。油脂から1つ脂肪酸を取ってしまったもの、それがジアシルグリセロールです。3つ取ってしまえば、ただのグリセリンになってしまうわけです。2個取ってしまうと、これはモノグリといいまして、食品のアイスクリームとかいろいろなものに使われる乳化剤になります。

●油脂の種類【1】・・・原料による分類

それでは、その油脂にはどんなものがあるのかというと、一番代表的なものは、大豆油。

それからお馴染みなのが菜種油。菜の花に実が生り、実を絞ると菜種油が採れます。これは40%ほど油分があります。家庭でも菜種を圧搾で絞ると、いい油が出てくる。僕が小さいころは田舎の自分の家で菜の花を栽培して、菜種を採り自分の家で絞って使っていました。

それからヤシ油。高い木の上のほうにボツボツと大きい実が生ります。その実の中に果肉がありまして、これを絞るとヤシ油が出来ます。この油分は60%ほどになります。実は太陽油脂の工場でも、40年前まではヤシの実を輸入して、実際に圧搾して絞っていました。ところが35年ほど前に、フィリピンではヤシの実の輸出をしなくなり、搾油した油だけを輸出するようになりました。それ以後は、油になった状態で入ってくるので、この工場では精製といいまして、パーム油(食用)・パーム油の原油脱臭したり、脱色したりする工程からスタートします。

こんどはパーム油。ヤシの樹と似ているのですけれども、ヤシの樹よりちょっと背の低い木に生っております。たくさんの実がついた房が採れます。これは毎月採れるので、年12回採れます。大豆は年1回、多くて2回。小麦でもお米でも、二期作と言いまして、2回採ることは出来ますが、このパーム油は年12回採れるというふうになっています。今月はここに1個生って、翌月ここに1個生って、また翌月ここに1個生って…と、だんだん上に上がっていくかたちで生るわけです。毎月1個、一本の木から採っていくので年12回採れます。そうしますと単位面積当りの油脂収量は、大豆に比べて、だいたい12倍になります。最近では大豆とか菜種よりも、こういうパーム油のほうが非常に増えだしました。特に世界の食料を賄うためには、同じ土地面積で12倍採れたほうが良いという事で、この暖かい東南アジア、特にマレーシアという国では大量に栽培されています。1個1個が回りに果肉があって、中心に種があって、その中からもまた油が採れます。果肉から採ったのを、パーム油と言います。種の中にあるのは、パーム核油。どちらも約50%油が採れます。

これが、パーム油の原油です。こんな真っ赤な色をしております。この赤い色が残ったまま“パーム油”ということで売っているところもありますが、赤い物質を取って、普通の食用パーム油としても使われています。

パーム油(食用)・パーム油の原油
パーム油(食用)・パーム油の原油

また、ひまわり油はひまわりの種から、コーン油はとうもろこしから採ります。

植物油脂で、日本でただ1つ大量に採れるものは、米ぬか油、または米油というものになります。米ぬか(胚芽)の中から20%ほど油が採れます。

それから特徴のあるものでは、カカオ脂。チョコレートなどに使われるカカオ脂、又は、カカオバターといわれるものです。カカオの実から、またこれも50〜55%ほど、油が採れます。これは他の油と違っていまして、体温と同じくらいになると溶けて、それより低いとカチカチに固まる。そうしますと、チョコレートというのは硬いですけれども、食べた瞬間にトロリとちょうど溶ける、そういう性質になります。

まとめますと、油脂には種から採れるもの、果実から採れるもの、種の核から採れるもの、胚芽から採れるもの、というのが植物油脂の種類。それから、植物以外に動物油脂もあります。牛の脂肪をヘッド、豚の脂肪をラード、それから魚を焼くとボタボタと滴り落ちる魚油、あるいは昔、鯨が日本で捕れていたときは、鯨油というのが使われておりました。そのほかに、牛乳からでる乳脂肪があります。

■植物油脂
種子油 大豆油、菜種油、ひまわり油、綿実油、 サフラワー、アマニ油 など
果実(果肉)油 パーム油、オリーブ油 など
核油 ヤシ油、パーム核油 など
胚芽油 コーン油、コメ油 など
■動物油脂
動物脂 牛脂(ヘッド)、豚脂(ラード)など
海産動物油脂 いわし油、ニシン油、鯨油 など
乳脂 牛乳脂肪(バター)
●油脂の種類【2】・・・脂肪酸組成による分類

油というのは先ほど言いましたように、グリセリンと脂肪酸とがあるのですが、この脂肪酸にはいろいろな種類があります。脂肪酸の種類によってラウリン系とかオレイン系、リノール系、リノレン系というふうに分けられます。

■脂肪酸組成による分類  
ラウリン系 ヤシ油、パーム核油
オレイン系 オリーブ油、ハイオレックひまわり油、 ハイオレックサフラワー油、菜種油
リノール系 ひまわり油、サフラワー油、大豆油、コーン油
リノレン系 アマニ油

この“系”というのは、例えばヤシ油にはラウリン酸が約50%入っているのですが、それでは残りは何かというと、やはりオレイン酸とかリノール酸とか、そういうものが混じっている。実体は、ある成分が1つだけというのではなくて、いろんな種類の混合物ということになります。

それぞれの油の、脂肪酸の成分は表1のとおりです。

(表1)資料:太陽油脂株式会社

(表1)資料:太陽油脂株式会社

ラウリン酸の多いヤシ油で石けんを作ると、比較的冷水でもよく溶け、よく泡が立ちます。しかし皮膚に対しては、やや刺激があるというような傾向があります。これに対してオレイン酸ですと、肌への刺激が少ない石けんができるのですが、泡立ちはあまりよくない。しかし、いったん泡が立つとその泡がなかなか消えにくくて持続性はある、というふうになります。  しかし、オレイン酸だと少し出来上がりが柔らかくて、溶け崩れしやすくなります。ですから、オリーブ油で作ると、オリーブ油はオレイン酸が多いものですから、肌への刺激が少ない石けんが出来るのですが、比較的溶け崩れしやすいものができる。それで、溶け崩れを防ぐために一部硬いものを入れるということでパーム油を何割か配合すると、溶け崩れが少なくて、肌への刺激も少ない石けんが出来る。さらに、そこにヤシ油を何%か加えて作ると、泡立ちのいいものが出来るということになります。今、実験しているものは、オリーブ油の柔らかさと肌への刺激性の少なさ、それに溶け崩れを防ぐために、ちょっと硬めのパーム油と、さらに泡立ちの良さを求めてヤシ油を入れています。こういう適当な組成の配合をしてやりますと、いい石けんが出来ます。

脂肪酸の種類による石けんの性質
肌への適性 洗浄力 起泡力 泡の持続性 出来上がりの硬さ 安定性
カプリル酸 × × ×
カプリン酸 × × ×
ラウリン酸 ×
ミリスチン酸 ×
パルミチン酸
パルミトレイン酸
パルミトレイン酸
ステアリン酸
オレイン酸
リノール酸
リノレン酸 × ×
○よい △まあまあ  ×悪い

(表2)資料:太陽油脂株式会社

●石けんのもうひとつの原料、アルカリについて

ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸など脂肪酸は、炭素の数がそれぞれ違うものですから、石けんを作る場合に、油に対してアルカリ(苛性カリ)を何グラム加えれば良いのか、という問題があるわけです。これを“石鹸にする値”ということで鹸化価といいます。鹸とは石鹸の鹸ですが、100%石けんにするためのアルカリの必要量ということになります。例えばヤシ油ですと、ヤシ油1キロに対して苛性カリを258グラム入れると、ちょうど100%石けんになります。苛性ソーダの場合はどうかというと、カリとナトリウムとはまた違うものですから、換算すると184グラムというような値になります。今、実験しているのは、オリーブとヤシとパーム油ですから、それを3つ混合したもので計算して、苛性ソーダを入れています。

各油脂の鹸化価とそれをもとに換算した苛性ソーダの量

油脂名 鹸化価 苛性ソーダ換算値(g)
やし油 251〜265 184
パーム核油 242〜256 178
パーム油 196〜210 145
カカオバター 194〜208 143
シアバター 180〜194 133
オリーブ油 184〜198 136
つばき油 186〜200 138
キャノーラ油(なたね油) 180〜194 133
ひまわり油 183〜197 135
紅花油(サフラワー油) 183〜197 135
ごま油 186〜196 136
米(ヌカ)油 183〜193 134
コーン(胚芽)油 186〜200 138
大豆油 185〜199 137
牛脂 190〜202 140
豚脂(ラード) 192〜204 141
乳脂(バター) 190〜202 140

注:鹸化価は原料の産 地や気温によってばらつきがありますので一定ではなく幅があります。苛性ソーダ換算値は、鹸化価の中心値をもとに計算したもので、油脂1kgを鹸化するのに必要な量(g)です。

(表3)資料:太陽油脂株式会社

余談ですが、廃油石けんづくりが結構広まっているのですけれど、この廃油に対してカセイソーダを入れる量が、ほとんどみんな間違えた量を入れています。最初に書かれた本の中に、間違えた数字が書いてあるものですから、そのまま全部間違えている。10%くらい多い量が使われています。そうしますと、出来た石けんは、カセイソーダが10%残ったままの成分になってしまっているということで、ペーハー(pH)といって、アルカリ度・酸性度を測ると、12〜13という数値のものが多い。100%石けんにしますと、だいたい10.5くらいの数字になるわけですけれども、アルカリが多いために12〜13という数字になってしまいます。そうしますと、本当のいい石けんにはなっていません。

石けんの製法をまとめますと、鹸化法という方法では、油脂(脂肪酸とグリセリンの混合物・結合物)に苛性ソーダを入れますと、石けんとグリセリンが出来ます。そしてこのまま固めてしまいますと、90%とか85%の石けんと、10%〜15%のグリセリンが残ります。弊社の“青ざらし”や“サラボン”という石けんは、ヤシ油100%で作った石けんですが、グリセリンが残ったまま固めているものですから、石けん分は85%という表示になっております。普通の浴用石けんは、塩析といいまして、グリセリンを取り除く工程(固める前に塩・食塩を入れますと、石けん分とグリセリンが分離されて、上澄みを取ると石けんだけがとれる)を経ると、98%〜99%の石けん分になります。グリセリンは取り除いたほうが、石けんとしての洗浄力効果は高まるということで、洗濯用などは取ってしまうわけですが、最近では、グリセリンはそのまま残しておいたほうが良いというような傾向があります。これは、グリセリン自体が肌の保湿成分になるからです。

今おこなっている実験は、このまま固めてしまうのでグリセリンが15%くらい残った比較的柔らかめの石けんになり、その代わり肌に対する刺激が少ないというものになります。この作り方では、油を実際の計算値より10%多く入れて作っています。そうしますと、石けんになりきれない油が少し残っているというような状態になります。これを過脂肪石けんといいます。過というのは過ぎる、脂肪が多いということ。ぴったり100%石けんにしないでむしろ油脂分を少し残しておく。グリセリンが残って、油分も残る。ですから洗浄力は多少弱くなりますけれども、皮膚に対する刺激が非常に少ないということで、最近肌の弱い人が多いものですから、カセイソーダの少ないものを作る傾向があります。

このように石けんは、油脂とアルカリで簡単にできますが、この40年間で増えてきた合成洗剤や合成界面活性剤は、家庭で手づくりすることはできません。  今、石けんも化粧品も自分で確かめられる原料を使って手づくりしようとする人が大勢増えており、「お風呂の愉しみ」(前田京子著/飛鳥新社)などのベストセラーもでるようになっています。

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