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レポート

■日本人の清潔がアブナイ! 〜きれい社会の落とし穴〜

藤田紘一郎さん

東京医科歯科大学名誉教授
人間総合科学大学教授
藤田紘一郎さん

著 書
 「笑うカイチュウ」講談社文庫
 「原始人健康学ー家畜化した日本人への提言ー」新潮選書
 「清潔はビョーキだ」朝日文庫
 「ばっちいもの健康学」廣済堂出版
 「子どもの『免疫力』を高める方法」PHP出版
 「病気に強い人、弱い人」幻冬舎 ‥‥他多数

2008年10月「きれいな水といのちを守る合成洗剤追放第30回全国集会」が秋田市で開催され、全国から約900人が参加。太陽油脂からも家庭品販促開発部長・長谷川治が分科会「石けんでシンプルライフ」の講師として参加しました。

今回の特集は、カイチュウ博士としておなじみの藤田紘一郎さんによる同集会の記念講演「日本人の清潔がアブナイ −きれい好きの功罪検証−」から、大変興味深いお話をご紹介いたします。

みなさんこんにちは、ご紹介にあずかりました藤田でございます。

私はお腹の中に「サナダ虫」を飼っていて、「キヨミちゃん」と名付けているような変な男であります。

今日のお話は免疫の話です。免疫とさなだ虫のキヨミちゃんと合成洗剤がどういう関係があるのか、また私たちの体を蝕んでいる抗菌化社会の話をしたいと思います。

●寄生虫研究のきっかけ

日本の花粉症の第一例は45年前、1963年です。日光の患者さんでした。でも日光の杉並木は17世紀から存在しているので、昔から杉花粉は飛んでいたのです。花粉症、喘息、アトピーは1965年頃から出てきました。私が三重県多気郡明星村にいる頃は全くありませんでした。その代わり明星村の生徒さん全員がカイチュウを持っていました。1950年度の日本人全体のカイチュウ感染率は62%。それは縄文時代からずっとそうでした。カイチュウは気持ちの悪いものとして追い出しましたが、カイチュウの感染率が5%を切った1965年からアトピー、喘息、花粉症が出てきたのです。

40年前、インドネシアのカリマンタン島を訪れたとき、うんちが流れている河で泳いでいた子どもたちがとても子供らしく元気で、肌がつるつるして、アトピーや花粉症が全くないことにびっくりしました。なぜだろうと調べてみると、全員がカイチュウに感染していました。私は、自分が育った明星村の経験と、このインドネシアのカリマンタン島の経験から、カイチュウがアレルギーを抑えるのではないかと考えたのです。

●人と寄生虫の共生

そこで寄生虫からアレルギーを抑える物質を取り出す研究をしました。その結果、寄生虫の分泌、排泄物に分子量2万のタンパクがあって、その物質が人の体に入るとアレルギーを抑えるという事が分かったのです。

サナダ虫のキヨミちゃんが体に入ってきますと、私の細胞はキヨミちゃんを排除する抗体を作ろうとします。しかしキヨミちゃんは私のお腹に居たいので、その2万の物質であるうんち、おしっこをばらまきます。そうすると排除しようとした抗体が無力となって、キヨミちゃんは温々とお腹の中に居ることができるようになります。私が杉花粉を吸っても、この2万の物質のはたらきによって情報がブロックされるので、杉花粉に対する抗体を作りません。だから私は花粉症にならないのです。

人と寄生虫との長い進化、共生の歴史の中で、人は寄生虫をお腹の中に入れてやろうとし、寄生虫は人間のアレルギー反応を抑えてやろうとする共生関係にあったのです。

●免疫と腸内細菌

皆さんの体の中には毎日3,000個のガン細胞が出来ます。でもガンにならないのは、ガンの発生を抑えるリンパ球「Th1」(※1)が見張っていて、ガン細胞をやっつけるからです。免疫とはこの「Th1」と、アレルギーを抑制するリンパ球「Th2」(※2)の二つの効果です。

人間の免疫力の70%は腸内細菌の働きによって作られます。赤ちゃんは産まれたらいろいろなものをなめたがります。これは腸内細菌を入れようとしているのです。パンダは生まれたら必ずお母さんのうんちをなめます。なぜかと言うと、腸内細菌の持っているササを消化する酵素を赤ちゃんパンダが持っていないからです。コアラもそうです。産まれたらすぐお母さんのうんちをなめて、お母さんと同じ腸内細菌を入れます。そうしないとユーカリを無毒化する酵素を得られません。私たちも野菜のセルロースを分解する酵素を持っていませんが、腸内細菌は持っています。この腸内細菌叢の種類や数が多いほど免疫力は高まります。それには、穀類、野菜類、果物類、豆類などの食べ物が良いのです。

約100兆個の腸内細菌を減らしているのが、いろいろな化学物質や農薬、防腐剤や食品添加物です。チンしたらすぐ食べられるインスタント食品、加工食品ばかり食べていると、腸内細菌が減り、免疫力が落ちてきます。つまりTh1が小さくなって、出てくるガン細胞を見逃し、免疫のバランスを失ってガンになりやすい体質になってしまうのです。病気に強い、弱いとは、実は腸内細菌によるものなのです。

最近、生まれたばかりの赤ちゃんで、アトピーになっている赤ちゃんのうんちを調べたら、40%の赤ちゃんに大腸菌が一匹もいませんでした。大腸菌が一匹もいないという事は、この地球上で生き物として育っていないということです。無菌室に入れ無菌の餌をあげられた実験動物みたいなものです。

  (※1)Th1(ヘルパーT細胞-1):ガンの発生を抑えているリンパ球
  (※2)Th2(ヘルパーT細胞-2):アレルギーの抑制に関与しているリンパ球

●洗いすぎたら汚くなる

みなさんは洗ったらきれいになると思っているでしょう。きれいな皮膚の表面には「皮膚常在菌」というばい菌がいます。このばい菌は皮膚の脂肪を餌にして、脂肪酸の膜を作ることによって私たちの皮膚を守っているのです。だからアレルギー物質も入らないし、悪いばい菌も入らない。水分が抜けないからしっとりとした肌です。

ところが皮膚を洗うと皮膚常在菌が洗い流されて、皮脂を取り去ります。洗いすぎると、皮脂膜と角質層を傷め、ドライスキン、アトピー性皮膚炎などの引き金になるわけです。


今、ドライスキンになっている日本人は非常に多いです。東京医科歯科大学の皮膚科に来られている患者さんを調べると、3人に1人ぐらいが洗いすぎによる疾患です。つまり、洗いすぎると汚くなるのです。

お風呂に入って石けんで体を洗うと皮膚常在菌の90%が落ちてしまうそうです。でも、10%残っていると若い人なら12時間で増殖して元に戻ります。だから若い人は1日1回石けんで洗っても大丈夫です。ところが強力な洗浄力の合成洗剤で洗うと常在菌を根こそぎ落としてしまいます。石けんはある程度使って良いですが、合成洗剤は非常にまずいと思います。最近増えている若い女性の膣炎も、デーデルライン乳酸菌という常在菌が洗いすぎで弱ることが原因です。

私は過度な清潔は病気だと思います。皮膚を守っている菌を、殺菌剤などの化学物質を使って追い出し、病気にしているのです。化学物質は私たちの身を守るために作ったものだと思っているけれど、実は私たちを守ってくれている良い菌をいじめているということです。

●人の細胞は1万年前と同じ

私たちは文明とか文化が良いと思って非常に快適な環境を作ってきました。でも落とし穴があった。

喘息が毎年増えています。喘息の原因は公害だと言われてきましたが、最近は公害でこんなに悪くなるはずがありません。アトピーも増え続けています。1970年代生まれの日本人は既に88%がアレルギー体質です。ところが60年代生まれは44%です。1970年代は身近なものが抗菌化した時代です。抗菌化社会はアレルギー体質を作ります。私の言っていることがちゃんとデータとして出てきたのです。

  

外での遊びが少なくなり、一人遊び、屋内の遊びがアレルギーになる率を高めている。

沖縄の子供たちに関して調査してみたら、泥んこ遊びをしている子どもはアレルギーになる率が少なく、きれいな部屋でコンピューターゲームをしている子どもがアレルギーになる率が高いというデータが出ました。ですから、子どもは泥んこ遊びをしましょう。この現代文明の中で1万年前と同じ遊びをしましょう。私たちの体を構成している細胞は、1万年前と同じです。免疫も1万年前と同じにできています。抗菌グッズや抗生物質の乱用をやめ、殺菌剤などはあまり使わないようにすることです。少しくらい「汚い」のが尊敬語です。

そして自然に親しみ、笑って、楽しく運動しましょう。ガン細胞をやっつけるナチュラルキラー細胞は笑えば増えるのです。何でもないことです。何でもないことがこの世で行われていないという事です。


私は「山川草木国土悉皆成仏」という言葉が大好きです。もともと仏教の言葉ですが、日本人が持っていたとてもすばらしい自然観です。私は寄生虫や細菌を「仏」と見立てて今後とも研究したいと思います。

(終)

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