■ドラム式洗濯機における石けん使用方法と洗浄力についての実験[2]
太陽油脂株式会社 家庭品販促・開発部
「ドラム式洗濯機における石けん使用方法と洗浄力についての実験[1]」で、ドラム式洗濯機における洗濯用粉石けんや液体石けんの使用法と、洗濯用粉石けん(ナチュロン純粉100)の洗浄力について報告しました。今回は、洗濯用液体石けんのさらに詳しい使い方と洗浄力、炭酸塩の効果や衣類のリンスの使い方について報告するとともに、ドラム式洗濯機の活用について考えます。
実験方法と材料
- 洗濯機は、Nationalドラム式電気洗濯乾燥機 NA-VR1000「ヒートポンプななめドラム」(松下電器株式会社)を使用。 ※本文中では「Nationalヒートポンプななめドラム」と表記
- 洗濯石けんは、「ナチュロンネオ洗濯用液状石けん」(純石けん分27%、炭酸塩13%)、「ナチュロン洗濯用液体石けん」(純石けん分40%)、「ナチュロン純粉石けん100」(純石けん分100%)、「ナチュロン粉石けん」(純石けん分80%、炭酸塩20%)を使用した。
- 洗浄力の測定は、(財)洗濯科学協会の湿式人工汚染布※を洗濯物に縫い付けて洗濯を行い、色差計を使って汚染布の白色度を測定することによって求めた。
ナチュロン ネオ洗濯用液状石けん |
ナチュロン 洗濯用液体石けん |
ナチュロン 純粉石けん100 |
ナチュロン 粉石けん |
 |
 |
 |
 |
※湿式人工汚染布は、白い木綿布に表の成分が染み込ませてある布。入手しにくい天然汚染布(えりあか布)の洗浄試験の結果との相関もよく、人工汚染布を使用した試験では毎回同じ汚れで洗浄率の評価が出来ることなどから、(財)洗濯科学協会の湿式人工汚染布を採用しました。
※人工汚染布は、実際の汚れに似せて作ってありますが、試験のために汚れをつけているものなので、実際の洗濯物の洗浄率と一致するものではありません。
<(財)洗濯科学協会の湿式人工汚染布の汚垢組成>(%)
| 有機成分 |
油性成分 |
オレイン酸 |
28.3% |
| トリオレイン |
15.6% |
| オレイン酸コレステロール |
12.2% |
| 流動パラフィン |
2.5% |
| スクアレン |
2.5% |
| コレステロール |
1.6% |
| たんぱく質 |
ゼラチン |
7.0% |
| 無機成分 |
泥 |
29.8% |
| カーボンブラック |
0.2〜0.3% |
図1.液体石けん使用量の違いによる洗浄率の変化
1.ナチュロンネオ洗濯用液状石けんの使用量と洗浄力
「ネオ洗濯用液状石けん」で洗った人工汚染布の洗浄結果。
左:ネオで洗う前の人工汚染布、中:ネオで洗った後の人工汚染布、右:汚れていない木綿布
ドラム式洗濯機(Nationalヒートポンプななめドラム)の説明書には、洗濯量と合成洗剤量の表示しかなく、洗濯時の水量や石けんの使用量は表示されていません。そのため、まず洗濯物量:3.5kg、水位「中」に設定して、ネオの使用量を48ml、96ml、120mlの3パターンで洗浄力テストを行ってみました。(図1参照)
この結果より、ネオ洗濯用液状石けんを96ml使用したあたりで十分に高い洗浄力が得られることが分かりました(同条件設定でナチュロン粉石けん36g使用したときとほぼ同等な洗浄力)。
また、それ以上使用量を増やしても(120ml)、洗浄力にあまり変化がみられないばかりか、泡の量が多くなり、洗濯機の泡消し機能によってドラム内の石けん液が一部排出されてしまいました。
さらに、48ml(96mlの半分の量)しか使用しなかった場合、96ml使用時より約16ポイント(96mlの洗浄率61.8%−48mlの洗浄率45.4%)洗浄力が低いことが分かりました。
これらの結果から、石けん量は多すぎず、少なすぎず、洗濯物の量に適した石けん量を使うことが重要だということが分かります。
表1に、洗濯物量ごとの「ナチュロンネオ洗濯用液状石けん」の適正使用量を示しましたので洗濯の際の目安にしてください。
表1.「ナチュロンネオ洗濯用液体石けん」の使用量の目安(Nationalヒートポンプななめドラムの場合)
| 表示水位 |
洗濯物量
(推定) |
洗い水量
(問合わせ) |
洗剤量表示 |
ナチュロンネオ
洗濯用液状石けん |
おすすめの
洗濯物量(推定) |
| +高 |
8kg |
36L |
1.3 |
140ml |
約5.6kg |
| 高 |
5〜8kg |
30L |
1.2 |
120ml |
約5.6kg |
| 中 |
2.5〜5kg |
24L |
1.0 |
96ml |
約3.5kg |
| 低 |
0.5〜2.5kg |
15L |
0.5 |
60ml |
約1.75kg |
| 小 |
0.5kg |
6L |
0.3 |
24ml |
約0.5kg |
*洗い水量は表示がないためメーカーに問い合わせた。
*おすすめ洗濯物量には、各表示水位で洗濯できる洗濯物量の約7割の量を提示。
*洗濯物が少なすぎるとうまく洗濯物が回らないので、「小」水位の欄にはカタログに表示された洗濯物量を記入。
図2.洗濯用液体石けん、ネオ洗濯用液状石けんの洗浄率の比較
2.青ざらし、酸素系漂白剤、重曹をあわせて使うと
炭酸塩の入っていない「ナチュロン洗濯用液体石けん」を使って、「青ざらし」での部分洗いを併用した効果を調べました。
水で人工汚染布をぬらし、青ざらしを直接ぬりつけてから、手で数回もみ洗いした後、ドラム式洗濯機の中に入れた結果、青ざらしを使った部分洗いによって、28ポイント洗浄率が上がりました。(図2参照)
次に、「酸素系漂白剤」20gと「ナチュロン洗濯用液体石けん」80mlを同時に使って洗濯を行いました。その結果、約22ポイント洗浄率が上がりました。酸素系漂白剤は石けんと同時に使うと、炭酸塩と同じ<アルカリ助剤>の働きをします。酸素系漂白剤を20g入れることによって、ナチュロン洗濯用液体石けんの洗浄率を「ナチュロンネオ洗濯用液状石けん」と同程度まで上げることが分かりました。(図2参照)
なお、酸素系漂白剤をプラスする場合の使用量は石けん量の25%くらいが目安です。
また、「パックス重曹」20gを同時に使って洗濯を行いました。重曹を20g入れると洗浄力がわずかに上がりました。重曹は石けん溶液よりもpHが低いので、重曹を添加すると洗濯液のpHが下がり洗浄率が落ちると言われることがありますが、この実験の結果では洗浄率が下がることはありませんでした。(図2参照)
しかし、重曹を沢山使うよりは炭酸塩入りの石けんを使ったほうが効率が良いと言えるでしょう。
純石けんと炭酸塩入り石けんはそれぞれの良いところがありますので、洗濯物の汚れ具合や仕上がりの好みによって炭酸塩の有無を選ぶことがポイントです。
例えば、汚れの少ない場合は炭酸塩なしの「純粉石けん100」を使い、汚れが多いときは<純粉石けん100と酸素系漂白剤を併用>する方法や、炭酸塩入りの「ナチュロン粉石けん」を使うなどの工夫をすることによって、石けん洗濯がより充実するのではないかと思います。
一般的に、「純粉石けん100」や「ナチュロン洗濯用液体石けん」を使うと、洗濯後の衣類は炭酸塩入りのものに比べてふんわり柔らかに洗い上がるという良い点があります。また、ウールや絹も洗えます。汚れの多い衿や袖を「青ざらし」で前処理をしてから純粉石けん100で洗濯すると、衿・袖の汚れはしっかり落ちて、全体をふんわり洗い上げることができます。
3.ドラム式のいろいろな機能を試してみたら
(1)「ネオ」や「洗濯用液体石けん」は洗剤投入口に入れて使える
ドラム式洗濯機(Nationalヒートポンプななめドラム)の<洗剤ケース>の<液体洗剤・漂白剤>の部分に一度に入る液体石けんの容量は約60mlです。液体石けんは注水によって薄まりながら、ドラムの中に入っていきます。粉末洗剤と液体洗剤はケース内では違う場所で水に溶かされますが、最終的には同じ経路を通ってドラム内に入ります。
液体石けんは<粉末洗剤>投入口に入れても問題がなく使えますので、<液体洗剤・漂白剤>投入口に一度で入りきらない場合は<粉末洗剤>投入口に直接流し込む方法が適しています。
(2)「衣類のリンス」も洗剤投入口に入れて使える
すすぎの段階で残った石けん分を中和する「衣類のリンス」を、<洗剤ケース>内の<柔軟剤>投入口に入れました。<柔軟剤>投入口には、最後のすすぎ時のみに水が流れるようになっています。使用方法としては、お洗濯の最初に衣類のリンスを<柔軟剤>投入口に入れておいて下さい。衣類のリンスの各水位別使用量の目安は表2の通りです。
衣類のリンスは粘度のある液体なので、使用後に柔軟剤投入口への残りが気になる場合などは、水で2倍程度に薄めて入れてください。
表2.各水位別「衣類のリンス」使用量目安(Nationalヒートポンプななめドラムの場合)
| 表示水位 |
洗濯物量(推定) |
洗剤量表示 |
衣類のリンス |
| +高 |
8kg |
1.3 |
20ml |
| 高 |
5〜8kg |
1.2 |
20ml |
| 中 |
2.5〜5kg |
1.0 |
15ml |
| 低 |
0.5〜2.5kg |
0.5 |
10ml |
| 小 |
0.5kg |
0.3 |
5ml |
(3)乾燥機能はいざというときに助けてくれる
ドラム式洗濯乾燥機には乾燥機能がついている機種が多いので、雨の日や急いでいる場合などに活用できます。試験に使用した機種には乾燥機能がついていたので、試してみたら天日干しした場合と遜色なく、ふんわりと仕上がりました。
(4)温水機能は必要なときに活用できる
実験に使用した機種には30℃、40℃、60℃の3段階の温水洗濯ができる機能がついていました。40℃の温水洗濯を使用すると、25℃の水道水で洗濯したときよりもシャツの衿汚れがきれいに落ちました。温度を上げることによって石けんの効果を引き出すことができるので、お風呂の残り湯が使えないときや、特に水道水の温度が低い冬場などは30℃の温水機能を活用することができます。
4.洗濯物量別にみた石けん使用量の目安
これまでの実験結果をふまえ、ドラム式洗濯機(Nationalヒートポンプななめドラム)を使用する場合の、洗濯物量に対するパックスナチュロン洗濯用各石けんの使用量目安を表3に示しましたので参考にしてください。
表3.洗濯物量に対する、石けんの使用量目安(Nationalヒートポンプななめドラムの場合)
| 洗濯物量 |
ナチュロン
純粉石けん100 |
ナチュロン
粉石けん |
ナチュロン
液体石けん |
ナチュロンネオ
洗濯用液状石けん |
| 約6kg |
38g |
45g |
100ml |
120ml |
| 約4kg |
30g |
36g |
80ml |
96ml |
| 約2kg |
19g |
23g |
50ml |
60ml |
5.本来、ドラム式洗濯機と石けんは相性がよい?
一般的に、ドラム式洗濯機は全自動洗濯機に比べて洗濯物量に対する水量が少ないですが、洗濯物が上下に動くという物理的な力が加わることにより、二槽式洗濯機と同様に、本質的に石けんとは相性が良い洗濯機であるということが言えます。
また、PRTR(化学物質排出・移動量届出)法で第一種化学物質に指定されているLAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩)やAE(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)が配合されている合成洗剤を使用しなくても、粉石けん、液体石けんで十分な洗浄力と柔軟効果が得られることも、今回の実験で明らかになりました。
今回の報告は、Nationalドラム式電気洗濯乾燥機 NA-VR1000「ヒートポンプななめドラム」でのテスト結果によるものなので、他の機種に必ずしも当てはまるものではありません。お使いのドラム式洗濯機の取扱説明書をよくお読みになって、それぞれの機種に適した石けんの使用量・使用方法を見つけてください。
(終)