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レポート

■化学物質と石けんと環境

小学校家庭科研究部の研修会での講演

太陽油脂株式会社 取締役家庭品販促・開発部長 長谷川 治

小学校の家庭科で日頃、食育・環境教育で活躍されている皆さんに敬意を表するとともに、今日は、更なる環境教育の発展のために、石けんと合成洗剤に関する新しい情報を提供したいと思います。

●PRTR法で分かったこと

1999年にPRTR法(「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理に関する法律」略称:化学物質管理法)という、新しい法律が出来ました。Pというのは「pollutant」、汚染物質という意味です。それが、どこから、どれだけ排出されているかを知るための仕組みが出来たのです。そしてその結果、「有害化学物質が全国で1年間90万トン排出された」ということが平成15年3月21日朝日新聞で報道されました。90万トンと言ってもピンとこないと思いますが、ごみ収集車が2トン車ですから、その45万台満杯に相当する量が排出されたことになります。

PRTRデータを読み解くための市民ガイドブック

PRTRデータを読み解くための市民ガイドブック<平成13年度集計結果から>P.11より

●家庭からはどんな物質が排出されているのだろう?

有害な化学物質は、実は皆さんの家庭でも子どもさんの家庭でも使われ、排出されています。一番多いのが、「直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩」。洗濯用合成洗剤の成分です。「PRTRデータを読み解くための市民ガイドブック 化学物質による環境汚染を減らすために」という環境省の冊子に、「動植物の生息もしくは生育に支障を及ぼす恐れがあるもの」ということで、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩が使用されている合成洗剤を例として取り上げています。

二番目は、「パラジクロロベンゼン」。これは防虫剤です。夏物や冬物の衣類をしまうときに押入れに一緒に入れておく、あの白い錠剤です。  三番目に、「ポリオキシエチレンアルキルエーテル」。これは、主に台所用洗剤に使われているもの。川に流れ、ある濃度(0.28mg/L)を超えると、ミジンコや魚が死んでしまうというデータがだされています。

生態毒性 生物種 試験種別 試験期間 EC50(mg/L)
ミジンコ 慢性毒性 21d 0.28

ECETOCによるポリオキシエチレンアルキルエーテルの毒性データ
(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)

●GHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)とは?

これは、有害なものには「有害である」というマークを付け、分かりやすくするという仕組みです。すでに環境省では、リーフレットを作って準備しています。これは2008年から実施される予定ですが、例えばドクロマークとか、あるいはこれを川に流すと魚が死んでしまうよ、というマークが付けられることになれば、「あ、買うのを止めよう。」というふうな判断基準になります。これはすでに、全世界で一斉に実施しなさいと、国連で2003年7月に決議されております。ですから世界中どこでも、「化学品を危険有害性ごとに分類し、一目でわかるようなラベルの表示をする。」ことで動いています。日本石鹸洗剤工業会もこのマークをつけることに合意したことが読売新聞で報道されています。

GHSリーフレット表紙 GHSリーフレットP.2より

2006年1月15日(日曜日)の読売新聞より

●5000年前から作られている石けんを見直そう

では、何を使えば良いのかといったら、昔から使われている「石けん」です。普通の固形の石けん。台所用液体石けんというものもあります。洗濯用も粉石けんや液体石けんなどがあります。なぜ石けんを使えば良いのかといいますと、これは一般的に言われている化学物質とは違って、すでに5000年前から使われていて、歴史的に安全性が確認されているからです。今のイラク地方、古代メソポタミア文明というのが発祥したところで、羊の肉を焼いたときに油がポタポタと滴り落ち、灰と混じったものを水に溶かしてかき混ぜると泡がブクブク出てくる。それで洗うと汚れが良く落ちるということで石けんが発見された。

石けん トリノオリンピックが終わりましたが、イタリアに「サポーの丘」というところがあって、ここでも同じように石けんがつくられ、それが全世界に広まっていった。サポーの丘から「ソープ」という英語になり、日本には「シャボン」という言葉で入ってきました。ですから、いわゆる石油からつくられる「ポリオキシエチレンアルキルエーテル」とか「直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩」と比べて、石けんは元々食べられる油と灰のアルカリ剤を混ぜるとできた。今は、灰からはつくらずに、海水の塩化ナトリウムという塩からナトリウムを取り出すと灰と同じ成分になるので、このナトリウムと合わせて石けんをつくっています。今、本屋さんに行きますと「オリーブ石けん マルセイユ石けんをつくる」とか、「手づくり石けん」という本がベストセラーになっております。オ リーブ油でも廃油でもペットボトルに入れて、それにアルカリ剤を入れ、20分くらい振ります。あるいは、皆さんの家庭科で使うボウルに入れ、泡立て器で20分ぐらいかき混ぜていますと、だんだん油がドロドロになってきます。ドロドロになったら牛乳パックに流し込みます。そうして一晩置きますと固まって、固形の石けんになります。コーヒーを入れればコーヒー石けんとか、食べ物ではないけれどもそういう楽しみの世界でつくっている人が、インターネットのホームページでは数多く見受けられます。

●石けんで汚れが落ちるわけと、使用後の行方

さて、石けんは使うとどうなるか。泡が立って汚れが落ちます。なぜ落ちるのかといいますと、石けんそれ自体の半分は油で、半分はナトリウムという食塩からくるもの。そういうことから、石けんは油にも溶け、水にも溶ける性質があります。水の中で油分の汚れがあると、自分が油に溶けて、水に溶かし込んで(これは乳化作用というのですが)落とすというわけです。それから、石けん分が川に流れるとどうなるか。川の中に「カルシウム」とか「マグネシウム」、海水中に「にがり」と呼ばれるものが入っています。そうしますと、それらの成分と石けんが結びついて、カルシウム石けんやマグネシウム石けんになります。別名「食用石けん」と言います。カルシウムと油だけですから、食べればカルシウムが強化される。脂肪分が、エネルギーになる。だから、川や海に流れれば魚が食べて、魚の骨が丈夫になったりする。私どもの会社では、このカルシウム石けんというのをわざわざつくっております。配合飼料として牛のえさ、あるいはニワトリのえさにする。ニワトリが食べれば卵の殻が丈夫になり、牛が食べればカルシウム分の多い牛乳を出す。

●“石けん”表示のからくり

ところが石けんは良いといっても、この「石けん」と言う言葉が非常に複雑に使われております。例えば「薬用石けん」で手を洗えば石けんで洗ったことになるのかなぁと思うと、裏面には「石けん」という成分名の表示がないものもあります。実は台所用合成洗剤と同じ成分が使われているのに、名称は「石けん」となっていたりしますから、「石けんを使いましょう」というだけではダメです。台所用には「台所用合成洗剤」、洗濯用には「洗濯用合成洗剤」と表示してあって、成分欄に「ポリオキシエチレンアルキルエーテル」など書いてありますから、書いてある通り、そのまま見ればよい。ところが同じ洗うものでも、“身体を洗う”とか“手を洗う”とか“歯みがき”となると、そういう表示がされていないのが多いのです。合成洗剤(合成界面活性剤)でも石けんと表示してかまわないというふうになっているのです。

台所用や洗濯用の洗剤は経済産業省の管轄で、石けんと合成洗剤はきちんと区別しなさいという法律になっています。ところが身体用や歯みがきは厚生労働省管轄の「薬事法」で、石けんと合成界面活性剤を区別しなくても良いことから、「ハンドソープ」とか「ボディソープ」とか「ソープ」と書いてあっても石けんとは限らないのです。必ず裏面に成分が何と書いてあるか見なくてはいけない。例えば、テレビ宣伝されているシャンプーやボディソープの後ろを見ますと、成分欄に洗浄成分として「ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム」「ラウレス硫酸Na」などと書かれている。台所用洗剤と同じ成分が、シャンプーやボディソープに使われていることがわかります。昨年、東京のある公立中学校の2年生全員に話ししたことがあります。その時、前もって自分が使っているシャンプーやボディソープがどんな成分か調べるアンケートを出したのですが、誰一人答えがなかった。裏面を見ない。テレビ宣伝しか頭に入っていないのです。

●子どものアトピーの原因のひとつ

私は、洗剤・環境科学研究会の役員をやっていますが、その第28回の研究会で山梨のいそべクリニック院長・医博・磯辺善成氏が、子どものアトピーの原因は何かという研究を発表しました。その院長は子どもがアトピーでやってくると、まず「洗うのを止めなさい」と言うのです。「最近、テレビでも“赤ちゃんにも優しい”なんていろんな洗浄剤が宣伝されて、お母さん方は一生懸命子どもの身体を洗い続けている。その結果、皮膚に合成界面活性剤が残り、それがむしろアトピーの原因の一つになっている疑いがある。洗うのを止めさせると、8割方アトピーは治っていく。2割は食物の問題や、その他の問題がありますが、8割方は洗うのを止めるだけで治っていく。ところがしばらくすると、また症状が戻ってくる。治ったのに、テレビ宣伝を聞いていると、きれいにしなくてはいけないと思ってゴシゴシ洗い始めるので、またアトピーが復活する」という発表でした。

人間も動物も本来は毎日ゴシゴシ洗うという習慣は無かったのです。人間は自分で皮脂を分泌してバリアをつくり、外の有害物質から皮膚を守る、そういう能力があるのにもかかわらず、洗いすぎて皮膚を無防備にしてしまい、有害な化学物質が入りやすくなった結果、いろいろ問題が起きています。本来は、汚れたら表面だけをさっと石けんで洗うというくらいがいいのです。

●石けんの上手な使い方

石けんは酸に出会うと、元の原料に戻ってしまうという性質があります。この性質は石けんを使うときに大事なことなのです。例えば、食器を洗うとき、酢の物などお酢が皿に残ったまま石けんで洗いますと、お酢と石けんが反応して元の油に戻ってしまいます。これでは油を皿に擦り付けているようなもの。「どうも石けんで洗うとスッキリ落ちないわ。」という意見が時々あるのですが、石けんの場合は、酢の物の皿は酢を流してから洗わなくてはいけません。

これはシャンプーをする場合もそうです。石けんシャンプーというのがありますが、それで洗って、あとクエン酸が入ったリンスをすれば良いのですが、石けんをよく洗い流さずにリンスをしますと、石けんが油に戻ってベタベタになってしまうという現象が起こります。合成のシャンプーはいろいろありますが、リンスと混ぜてもそういう反応は起こしません。リンス成分も入ったシャンプーというのが発売されているくらいです。

洗濯用も同様のことがあります。夏になると汗をいっぱいかきます。そうしますと下着などは汗びっしょりになる。汗というのは酸性です。それをいきなり石けん液に入れて洗うと、汗と石けんが反応して油に戻ってしまう。こんな状態ではよく洗ったつもりでも、かえって油が付いて汚れ、干すと黄ばんできたり、イヤなニオイが付いたりする。ですから汗をかいたときは、必ず水でサッと流してから洗濯機に入れるなど、予洗いをするということが必要になるわけです。

●石けんによって変わる町

全国的に今、いろんな行政・自治体が、石けん使用を真剣に取り組み始めるなど、大きく変わりつつあります。例えば、北海道の厚岸(あっけし)町には、厚岸湖という湖がありまして、ここは日本一の牡蠣(カキ)・ホタテの産地だったところです。ところがどういうわけか、牡蠣が大量死したのです。漁師さんが調査したところ、上流の森の木を切ってしまったために、栄養になる葉が落ちなくなり、代わって上流から流れてくる生活廃水や農薬などの増加による、湖の水質悪化があることがわかった。そういうことから毎年、漁師さんが山に木を植えに行く植林活動を始め、木が育って、また葉が落ちるのを待った。また、水を汚さない石けんを買った人には25%補助金を出す、売った人にも5%出すということを町長さんはじめ、町議会で決定した。当然学校や幼稚園、保育園では全部石けんに替えた。そうしたら、また、牡蠣・ホタテが復活した。そして寒い地方で育った牡蠣ということで、非常に大きくて味もおいしくて値段も高く売れるようになった。ここの商品名を「カキエモン」といい、評判を呼んでいます。

厚岸町では石けん製品にこのようなシールが貼ってある 五頭温泉の旅館で使われている石けん

また、新潟の五頭(ごず)温泉郷では、下流でコシヒカリの無農薬米をつくっているので、旅館協同組合が話し合い、18軒全館が環境に配慮した石けんシャンプー・石けんボディーソープ・石けんハンドソープに切り替えました。そして2年たったら、ホタルが復活するほど川の水がきれいになった。本物の無農薬有機米になったということで、消費者も喜び、農家も喜ぶ。一方、温泉街では、合成洗剤より石けんのほうが少し割高なので経費は増えたけれども、ホタルが戻ってきたために、夏になると「ホタルが見られる」と宣伝できるようになった。その結果、観光客が増え、旅館も石けんに替えることによって、非常に喜ぶと、こんな結果になっています。世界遺産の白川郷、京都の美山町などでも石けんの普及がすすんでいます。

小学校の総合学習でおこなわれた石けんの授業風景学校も、変わりつつあります。私どもの会社の近くにある公立の小学校では、毎年小学校3年生に「総合学習」で今日話したような話をします。小学校3年生ですから難しい話は出来ないのですが、実際に自分たちで石けんをつくってみる。そして皆で銭湯に行って、その石けんで身体を洗って、その汚れがいったいどこに流れるのか考える。川や下水に流れる。では下水処理場ではどうなっているのかと、下水処理場を見に行って考える。そういう授業が毎年行われています。

●自然の中で循環する生活を!

石けんというのは油脂からつくられます。油脂は、太陽のエネルギーをもらい、植物の光合成でつくられた実から絞ったものです。だから石けんは、太陽のある限りずっとつくり続けることができます。そして、使用後川に流れると、カルシウム石けんとなって魚の栄養になり、食物循環の輪をつないでいきます。一方、合成洗剤の原料になる石油は、あと50年でなくなるとも言われています。小学生のうちからきちんと今の環境問題、CO2を減らす問題、それから有害化学物質を使わないで食物循環になるようなものを使うということを教えていく必要があるのではないかということを訴えまして、私の話は終わらせていただきます。

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